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150号 紙本墨画(葦ペン) 1992年 立川市蔵

小松 欽(1930-)

10 代から父に油彩の手ほどきを受けた後、新潟大学芸術学部で洋画を学んだ作者は、20 歳ですでに二紀展への出品を果たした。しかし、40 歳を手前にした時、葦を筆として用いる葦ペンと出会い、以後油彩を捨て、葦で絵を描き続ける。太く育った葦は、墨をふくませて紙の上を走らせると、予期せぬ線を生み出すという。自分の腕と筆は一体でありながら、己の意志によらない描線が画面に現れるからこそ、作者は無心になれると語る。小手先の技巧に陥ることなく、気分の大きな自然風景を描き出す点も大きな魅力である。